抄録
農地への太陽光発電設備設置は,耕作放棄地を有効活用する手段となっていたが,近年は諸問題の発生により設置継続が困難となっており,今後の設置方法を考える必要が生じている。そこで本稿では,この方法としてソーラーシェアリングを取り上げ,導入事例と既往研究を比較し,そのメリットと課題を整理した。その結果,この方式は,農家の収入増加,耕作放棄地の増加抑止が期待でき,日光が必要な陽生植物も栽培可能である方式であると裏付けることができた。さらに企業が発電設備の設置や農業技術の提供を行い,土地を所有する農家が農業を継続するFC方式は,農業効率化による負担軽減や借地料による収入の増加,農作物販売ルートの確保が出来るため農家にとってメリットが大きく,農家にソーラーシェアリングを認めてもらう方式となる可能性がある。よってFC方式のソーラーシェアリングを拡大することで,農地への太陽光発電設備設置を継続できると考えられる。